『Linuxで動かしながら学ぶTCP/IPネットワーク入門』を読んだ
表題通り。『Linuxで動かしながら学ぶTCP/IPネットワーク入門』を読んだ。
Twitter上で時々目にして気になっていたというのもあるが、直接の経緯としてこの4月からSREをしていることがある。それまではひたすらモバイル開発をやっていたので、ベースラインのインフラ知識は正直心許ない。オンプレ、AWSハイブリッドのKubernetesを触っているというのもあって、基礎がないまま応用をやっているような感じがある。最近も同僚がIPVSのバグを踏んだと言って、パケットを見ながらデバッグしているのを横目に、自分はこういうのが簡単にできないな、と少し気落ちしていた。
内容はタイトル通り「入門」レベルであったが、物理ネットワークの構築無しでのハンズオンというコンセプトは良かった。自分のように仮想ネットワークがもっぱらの業務の対象である人間にとって、namespace・veth・bridgeなどを直接触って得た知識は物理レイヤの知識より業務に活かせる機会が多い。
ややネガティブな印象を受けた点は、テーマごとに新しくnamespaceを作りなおすという方針のせいで、同じコマンドの繰り返しが紙面のかなりの部分を占めていることだろうか。ページ数に対しての情報量は少ないと思う。
英語だけで仕事をするようになって、翻訳書は基本的に読まないようにしているが、日本語で書かれた技術書は面白そうなものが時々ある。一次情報の寄せ集めになることを避けるせいか、本書のようにテーマ設定が工夫されているものが多い気がする。ふと、自分が『Swift実践入門』を執筆したときも、プロダクションに耐えうる堅牢なコードを書くというテーマを設定して仕様の網羅にならないように配慮していたことを思い出した。